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平屋について建築家と検証しよう
[スペシャル・パネルディスカッション]

近年、注目を浴びている「平屋」について設計者の視点とビルダーの視点で検証してみました。
平屋は本当に正しい選択なのかなど、これから住宅購入を検討する方向けに多角的に話し合った。
検証をしていくうちに、平屋本来のメリットやデメリットなどが浮かび上がってくる。
設計者とビルダー、それぞれの視点から見ていくと「平屋」としての価値が見えてくるのではないだろうか?

パネルディスカッション【平屋】パネルディスカッション【平屋】

「平屋は正しい選択か?」

君島(andARCHI):
なぜ近年、平家が注目を浴びているのだろう?ネットの検索ワードランキングでも、最近は常に上位に上がってきています。コロナ禍以後、私たちの生活に対する考え方に少し変化が生じてきたことも理由の一つのような気がします。

住宅に対して、立地や効率性たけでなく「家時間」を意識する割合が大きくなってきたからではないでしょうか?家での暮らしの時間が長くなれば、家に対する要求品質にも変化が生じてくる。「平屋」は本当に二階建住宅より豊かな生活になるのかを検証していきたいと思います。

「原点回帰か?」

奥原(SUNRISE):
高度経済成長期は、とにかく効率性や利便性を重視されてきたように思われます。核家族化が進み、家族が住宅で過ごす時間に対する価値観が軽んじられがちな時代でもあったのかもしれません。

しかし、ITの発達とともに都市に住む理由が薄れ、働き方が多様になりつつあり、家族の時間に対する価値観の変化も起きてきています。このような時代背景のもと、改めて「住宅」に対する価値観を考える時期に来ているのかもしれません。暮らしに対する「時間」の考え方を皆さんと一緒に深められたらと思っています。

「郊外型の暮らしへ」

中田(建築家):
そもそも、住宅の基本は「平屋」。都市化が進むにつれ立地の面積を効率的に活用するため、住宅でも二階建住宅や三階建住宅が一般的になってきた。建築技術の発展も加わり加速度的に二階建住宅が一般的になっていきました。

働き方の多様化により、住居の構え方にも変化が起きつつあります。都市部から郊外型へと住まいの選択を移す人も多くなってきました。郊外は土地の広さにも余裕が出てきます。そうなると敷地の広さを必要とする「平屋」への要求が大きくなるのかもしれません。

「設計の考え方」

中田(建築家):
建設費が高騰している中で、予算内でなるべく大きな部屋を作りたい、建築は小さくしたいがリビングは大きくしたい。その時の解決策として平屋は選択肢に入ってきます。一定の性能を確保した空間では、各エリアの連続性(間仕切りの少ない)プランを考えることができます。連続性のあるプランは効率の良い間取り計画を生み、シークエンス(連続性のある景色)の移り変わりを楽しむことのできる空間へと昇華することも可能です。

温熱性能は内部空間の気積(容積)に対して、Ua値が小さくなる傾向にあります。平屋は、二階建住宅と比べ温熱性能的に有利に働くことが多く、気候の変化が厳しい松本地域などでは適した選択とも言えます。

しかしながら、デメリットもあります。一般的に言われるのが、「防犯性」「採光生」「土地の広さ」です。平屋は、すべての居室が1階に存在するため、どの部屋も外部との接点を避けることができません。日当たりについても、家の中心部までに明るさを取り込もうとする場合、中庭の計画など設計上の工夫が必要とされます。土地の広さが必要とされるのは言うまでもありませんが、設計者としては、シークエンスな設計を取り入れ「小さくても大きく住める」設計を提供したいと思っています。

「平屋の魅力」

中田(建築家):
設計的には、構造的に有利な平屋は設計の自由度が高く、大開口の窓を設置しやすいので、開放的な暮らしを提供できるポテンシャルを秘めています。開口を大きくする反面、プライバシー確保という課題にも向き合う必要があります。周囲の環境に合わせ、中庭や外構計画を同時に考えることも大切なこととなります。

特に、採光計画が難しい平家は、「中庭」を配置した設計計画をお勧めします。カーテンレスで常に外の空間をリビング空間に取り込める中庭設計は、家族の時間を豊かにしてくれるものだと思っています。その豊かな外部空間を作るガーデナーさんがいるSUNRISEさんは、とても心強いんです。外部空間との連続性は平屋設計において必須だと考えています。

「建築費について」

奥原(SUNRISE):
そもそも、平屋かどうかの判断を相談していただきたいです。一般的に、総二階建と比べ平屋はコストが上がりやすい傾向にもあります。これまでお話ししてきた通り、「平屋」は魅力的な住まいづくりの方法と言えます。

中田先生のシークエンスのある自然に流れるような間取り設計を採用しながら、建築面積を抑えて計画することも可能ですが、採光性や防犯性を考慮すると大幅に建築予算が上がることもあります。建築家の設計技術を理解しながら、お客様の要望を限られた予算の範囲内で正しい選択肢を提案することが大切だと考えています。

どんなに素晴らしい住宅設計でも予算オーバーでは意味がありません。「建築家とともに最大の魅力を予算内で」というのが私たちのミッションだと思っています。特に、土地から購入を考えている方は、事前相談が必須だと考えています。建築会社が決まっていなくても構いません。まずは、間違いのない土地選びからだと思っています。

「時間に対する価値観」

君島(andARCHI):
平屋という住まいづくりを題材とした検証を行いました。その地域の考え方や経済状態、周辺環境の変化によって住まいに対する考え方は変化します。私たちは、その変化の大きい時代に生きているのかもしれないと感じさせられました。

近代の住宅は、建築技術や性能の進化により生活スタイルが大きく変化し続けています。技術の発達により家事などの時間を減らすことができ、家族の豊かな「時間」をより多く生み出すことができる時代とも言えるでしょう。その家族の「時間」を暮らしづくりのプロと相談してみてはと思う。

結論としては、「平屋」は豊かな暮らしを創造する一つの手法。その土地で、その家族が最適な選択肢で住まいづくりをすることが大切なことだと、中田さんと奥原さんは言っていました。今回の「平屋」という話題をきっかけに、皆様の「時間」を考えるきっかけになることを願っています。

パネルディスカッション【平屋】