新しい新築住宅のカタチ 3Dプリントで住宅を印刷する!

SUNRISE-arc株式会社(R+house松本店) 設計の原です。

SUNRISE.Incでは新築戸建て住宅を「木造」で建築をしております。

木造は古くより日本の家づくりで多く採用されている家づくりの工法の1つです。

 

今回は建物を印刷するという3Dプリント建築を紹介したいと思います。

その建物は長野県の佐久市にあります。

セレンディクスという兵庫県にある会社が手がけた建物で、一般販売の第一号だそうです。

10㎡で整骨院の敷地内にあり、プライベートサロンとして利用しているみたいです。

 

工場で出力したパーツを輸送して現場で組み立てるという建設方法で、現地での施工時間は22時間52分だったそうです。

一般的な工務店の造る木造住宅だとサイズは違いますが、4か月前後はかかるところですが、3Dプリントで建築するスピードは早そうですね。

構造的には3Dプリンターで出力したモルタルの間に鉄筋を入れて、鉄筋コンクリート造として構造設計をしているみたいです。

工事途中の写真や動画を見る限りでは、3Dプリンターでモルタルの型枠(それがそのまま壁になる)を出力してその中に鉄筋を入れ(どのタイミングでどうやって鉄筋を入れているのかは分かりませんが……)、現地で組み立てながら壁の中にコンクリートを流し込んでいるようです。

この佐久市にある建物では、建築確認申請を行う必要があり、工事着手の時点では特殊な建物を建設するための国土交通大臣認定が取得できていなかったため、鉄筋を配筋してコンクリートを流し込むという一般的な鉄筋コンクリート造の作り方で構造計算をする必要があったようですが、その後、国土交通大臣認定取得に向けて申請に着手しているところだそうです。

この建物には水廻りが装備されていないそうですが、もっと大きくて水廻りも完備した、住宅として生活できるモデルもあるそうです。

 

3Dプリント住宅の海外の事例では、アメリカのテキサス州で世界最大規模となる3Dプリント住宅群が建設中だそうで、このプロジェクトは世界的な設計事務所のビャルケ・インゲルス・グループ(デンマーク)とのコラボレーションみたいです。

(ビャルケ・インゲルスといえば、日本国内では静岡県の裾野市にあるトヨタ自動車の工場跡地に建設中のWoven City(ウーブン・シティ)のプロジェクトも手掛けていますね)

その住宅は現場にレールを設置して、その上を大型の3Dプリンターが移動しながら材料を積み重ねて出力していくという作り方のようです。

写真によると、壁の最上部まで出力したら、屋根は木造の下地を組んで、普通に現地で仕上げているように見えます。

日本でも特殊な工法として大臣認定を取得すれば、そんな工事現場が現れるかもしれませんね。

実際に大手建設会社では、繊維補強の無筋コンクリートで大臣認定取得工法による3Dプリント建築も完成しているそうです。

 

なんだか画期的な3Dプリント住宅ですが、メリットもデメリットもたくさんありそうですね。

メリットとしては、やはり工期の短縮でしょうか。

基礎は今まで通りの鉄筋コンクリート造なのか、それとも基礎も3Dプリンターで出力できるのかどうかとか、内外装の仕上げはどうするのかとか、わからない点が多いのですが、それでもやはり工期は短縮されそうな気がします。

あと、工期が短縮されればその分職人の人件費も圧縮することができるため価格も安くなる可能性はあります。

それから、必要な材料を直接プリンターが出力するので、端材等が少なくなってごみが減り、環境にやさしい建物になるかもしれません。

 

デメリットというか、今後の課題としては、やはり一番に思いつくのは法整備でしょうか。

3Dプリンターに使える材料に制約があるので、一般的に構造材として使用している材料とは違う材料を使うことになり、そこの部分は大臣認定を取得しながら一つ一つクリアしていくしかないでしょう。

あとは、仕上げや断熱、空調や電気や水廻りなど、構造体以外の部分でどれくらいの省力化が図れるのか。

このあたりに時間を取られてしまうと工期短縮のメリットが薄れてきてしまいそうです。

(外壁の質感は好みが分かれそうですね。このままの仕上げだと将来汚れが目立ちそうな気もするし……)

 

まだまだ始まったばかりの3Dプリント建築ですから他にも課題は山積みでしょうが、しっかりと克服して様々な建築分野に普及していくのかどうか注目したいと思います。

 

3Dプリント住宅は、建築家によって一棟一棟デザインされた注文住宅とは真逆の存在かもしれませんが、家を建てようと考えている人にとって選択肢が広がることは良いことなのかもしれません。

そんな中でもお客様に選んでもらえるように、木造住宅の良さ「いろいろな素材の組み合わせをデザインしたり」「家が少しづつ出来上がっていく喜び」を感じて頂きながら良質な住宅を提供していきたいと思います。

 

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